もう30年近く前になりますが、テレビ朝日の子会社で働いていた事があります。テレビ局内にスタジオがある為、小林鷹さん、ケイオガタさん、久留幸子さん、坂田栄一郎さん、与田弘志さん、三浦憲治さん、伊島薫さん、ホンマタカシさん等々、多くのメジャーなカメラマンの撮影現場に立ち会う事が出来ました。モデルにテンポよく声を掛けて撮る人、静かに指示を出して撮る人、複写するように淡々と撮る人もいて、プロカメラマンのスタイルや個性の一端を学んだ事が、今の自分の仕事にも大きく影響していると思います。

しかしいくら憧れるカメラマンがいたとしても、そのやり方を真似するのでは無く、自分自身にあったやり方で被写体に向き合うしか無い、京都に戻ってフリーランスとして仕事として活動を始めてすぐその事に気付きました。

ポートレート撮影の秘訣は「被写体になる人をそのまま受け入れて肯定すること」。そう確信を得た時から、どんな有名人と向き合った時でも慌てる事無く、撮影出来るようになりました。

「写真に写るのがとても苦手ですが、いつもの緊張度が100だとすると、今日は40ぐらいで、少しリラックスして撮影して貰えました。カメラマンさんのお人柄のおかげかな」

「大島さんの被写体への眼差しが優しい」

改めて自分で言うのはなんですが、このように評して貰えるのも、例の「秘訣」をいつも心に留めているからだと思います。著名な方もそうでない方も、それぞれ固有のストーリーを持っていて、それぞれの魅力があるはずです。これからも様々な人たちとの出会いを楽しみにしています。